建設産業委員会行政視察 令和6年10月15日から17日まで

このページの情報をツイッターでツイートできます
このページの情報をフェイスブックでシェアできます
このページの情報をラインでシェアできます

ページ番号1033523  更新日 2024年12月9日

印刷大きな文字で印刷

令和6年10月15日から17日まで、茨城県水戸市、東京都多摩市、千葉県千葉市及び静岡県の沼津駅北口広場を視察しました。

水戸市バリアフリー基本構想について「茨城県水戸市」

取組の背景、目的

茨城県水戸市

 茨城県水戸市では、「連続的なバリアフリー化」「持続可能なバリアフリー化」「心のバリアフリーの推進」を目指し、「水戸市バリアフリー基本構想」を策定した。この構想は、全ての市民が安心して利用できる公共空間を整備することを目的としており、特に高齢者や障がい者、妊婦や乳幼児を持つ家庭など、移動困難者に配慮した施策が中心である。具体的な方針として、重点整備地区の設定や、行政機関や市民、民間企業との連携による体制の構築が掲げられており、これにより地域全体でのバリアフリー推進が図られている。
 この取組の背景には、急速に進行する超高齢社会や、より多様化する市民のニーズに対応する必要性があった。高齢者の増加や障がい者の方々の生活の質を向上させるためには、バリアフリー化が不可欠であり、また、誰もが安心して移動できる環境を提供することが求められている。

取組内容について

(1) 道路整備
・歩道の有効幅員の確保
・歩道と車道の分離
・視覚障がい者用誘導ブロックの設置
・横断歩道でのエスコートゾーンの整備
・最新技術であるスマホと信号機を連携させた「高度化PICS」の活用

(2) 都市公園
・車いす利用者向け設備の充実
・案内板の内容更新

(3) 公共交通
・ノンステップバスやユニバーサルデザインタクシーの導入促進

(4) 庁舎施設
・右麻痺用・左麻痺用トイレや介助犬用トイレを設置

(5) 心のバリアフリーの推進
・「心のバリアフリー部会」の設置
・啓発活動の実施
・WheeLogアプリを活用したバリアフリーマップの提供

大府市への反映・所感

 水戸市の視察を通じて、ハード整備が完了した後も「心のバリアフリー」の実現が不可欠であることを深く実感した。大府市においても、移動困難者が安心して移動できる環境を整備するためには、最新技術の導入や案内板の見直しなど、実効性のある施策が求められる。加えて、単にインフラを整備するだけでなく、市民一人一人が理解し合い、支え合う地域づくりを進めることが重要であり、利用者目線に立った施設整備が求められる。
 また、水戸市でのバリアフリー環境整備推進協議会における県との連携の重要性は、大府市にとっても参考になる点が多いと感じた。異なる行政機関間での連携が、構想の策定段階から推進体制の強化に至るまで、施策の成功には欠かせない要素であることが明確になった。大府市でも、県や他の自治体と協力し、地域全体を見据えた取組を進めていく必要があると考える。
 さらに、バリアフリー施策におけるDXの推進や、市民との協働を促進する「WheeLog!」の活用、そして歩行者支援装置(高度化PICS)の導入についても、大府市で積極的に取り入れるべきだと感じた。特に、重点整備地区への導入は、移動困難者にとって大きな助けとなるインフラとなると考える。これらの取組を通じて、大府市がよりバリアフリーで、誰もが暮らしやすいまちとなることを目指していきたいと考える。

街路樹よくなるプランについて【東京都多摩市】

取組の背景、目的

東京都多摩市

 多摩市は市制50周年を迎え、街路樹に関する様々な問題が浮き彫りとなった。特に、街路樹の老朽化が進み、一部では樹木が倒木のリスクを抱えるなど、歩行者の安全に直結する問題が顕在化している。また、街路樹の管理が適切に行われていないことにより、歩道の狭さや視界の妨げなど、都市環境の質にも影響が出ている。これらの問題は、市民生活に直接的な影響を与え、地域の魅力や住民の満足度にも関わる重要な課題である。
 こうした背景の中で、多摩市では市民にとって快適で安全な環境を提供するために、街路樹の管理と整備の見直しが求められた。目的は、老朽化した樹木の適切な植え替えや剪定、歩道幅の確保などによる歩行者の安全確保、さらには、市民が誇りを持って生活できる美しい街並みの形成である。また、市民参画を促進し、地域住民や専門家と連携しながら、持続可能な管理体制を構築することも大きな目的となっている。これにより、市民の生活の質の向上を目指し、長期的には都市のブランド力やまちの資産価値の向上を図ることが目指されている。

取組内容について

(1) 樹木の適切な管理と改善
・高木をコンパクトな樹種に植え替え、街路灯の光を遮らないようにする
・弱ったり傾いている木や樹木同士の間隔が狭い場所に適切な手入れを行う

(2) 歩道の安全対策
・植樹帯から単独桝に変更し、歩道幅を広げて歩行者と自転車の安全を確保

(3) 快適な歩行空間の整備
・遊歩道や公園にベンチを設置し、歩行者が快適に過ごせる空間を提供

(4) 持続可能な緑の管理
・間伐や伐採を行い、適切な樹種への植え替えを進め、持続可能な緑を育てる

(5) 市民参加と地域巻き込み
・市民参画を進め、地域の人々と協力して街路樹の整備を行う

大府市への反映・所感

 多摩市の「街路樹よくなるプラン」における基本方針として挙げられている「安心快適な道づくり」「まちの資産価値を高めるみどりの形成」「みどりの活用による地域コミュニティの活性化」は、大府市にとっても非常に参考になる重要なポイントである。
 まず、「安心快適な道づくり」は、市民が日常的に利用する道路環境を整えるための基本的な考え方であり、歩行者や自転車利用者の安全を確保するために、街路樹の適切な管理と歩道幅の確保が必要である。これにより、より安心して外出できる環境が整い、交通事故や障害のリスクを減少させることができる。また、街路樹の適切な管理によって、歩道の美観が向上し、市民が快適に過ごせる空間が生まれる。
 次に、「まちの資産価値を高めるみどりの形成」という点では、街路樹や緑地の整備が、まちの景観や住環境の向上に寄与することが挙げられる。緑豊かな都市は、居住者の満足度を高めるだけでなく、外部からの訪問者や投資家にも魅力的に映り、地域のブランド力や資産価値の向上につながる。これにより、地域経済の活性化が促進され、持続可能な発展が期待できる。
 最後に、「みどりの活用による地域コミュニティの活性化」では、街路樹や緑地の整備は、単なる美観や安全の向上にとどまらず、地域コミュニティのつながりを強化する役割も果たす。市民が自ら関与する緑化活動やアダプト運動などを通じて、地域住民同士の交流が促進され、コミュニティ意識の醸成につながる。これにより、地域全体の絆が強化され、住民が自分たちのまちに対して誇りを持つことができるようになる。

歩行空間のベンチ設置計画について【千葉県千葉市】

取組の背景、目的

福岡県古賀市

 千葉市の「歩行空間のベンチ設置計画」の目的は、道路を利用する人々の快適性や利便性を向上させ、特に超高齢社会への対応を図ることである。具体的には、歩行者が気軽に立ち寄り、休憩できる「憩い、集い、語らい」の場を提供することを目指している。この取組は、千葉市土木保全課が所管する事業であり、市内の主要な駅前広場や歩道、歩道以外の公共空間にベンチを設置することで、地域住民や訪れる人々にとって快適で利便性の高い環境をつくり上げることを狙いとしている。
 

取組内容について

(1) 駅前広場でのベンチ設置
・バス停ごとにベンチを1基設置

(2) 歩道でのベンチ設置
・原則として200メートルごとにベンチを設置し、歩行者の休憩場所を提供

(3) 歩道以外の場所でのベンチ設置
・企業等から寄贈されたベンチを活用し、地域活性化や賑わいを創出

 さらに、設置基準として標準図を作成し、設置場所や設置方法に統一性を持たせることで、計画的な進行を促進している。
 

大府市への反映・所感

 千葉市の「歩行空間のベンチ設置計画」は、高齢者や障がい者を始め、全ての市民に優しいまちづくりを進める点で、地域に対する深い配慮を感じる。
 大府市においても、駅前やバス停周辺、歩道の改善が進められる中で、歩行者が快適に休憩できる場所を提供することは、地域活性化に大きく貢献するものと考える。特に、歩行者の負担を軽減し、移動しやすいまちづくりを進めることは、住民の満足度向上にもつながり、より多くの人々が外出しやすい環境を整えることができる。
 また、民間の活力を導入することで、寄贈や維持管理の面でも効率的な運営が期待できる点が非常に重要である。市の予算に過度な負担をかけることなく、地域企業や団体との協力を得ることで、持続可能な取組が実現可能となる。これにより、市民にとってより使いやすい空間が提供されるだけでなく、地域の絆も強化されると感じた。
 大府市においても、バス停でのベンチ設置に対する要望が多いことから、地域のニーズに応じた柔軟な対応が求められる。特に、設置後の維持管理や新たな寄贈などに関しては、民間企業との連携を進めることで、より効果的で持続的な取組が可能となり、地域住民に長期的に貢献することができると考える。

沼津駅北口広場のユニバーサルデザイン【静岡県沼津市】

取組の背景、目的

沼津駅

 「誰もが利用しやすい駅前広場」を目指し、視覚障がい者、車いす利用者、高齢者、主婦など、様々な方々の意見を反映させながら整備を進めている。今後は、今回の取組で得られた成果をもとに、沼津市全体のまちづくりに広げていくことを考えている。

取組の内容について

(1) 乗用車の乗降エリア
・歩道と車道の段差がなく、車両から降りた際にスムーズに歩道に移動でき、利便性が高い

(2) バスの乗降エリア
・低床バスに合わせた歩道の高さが設置され、車椅子やベビーカー利用者にも優しい設計

(3) 屋根の設置
・バス、乗用車、タクシーのエリアの全てに屋根が設置され、天候に関係なく乗降時に濡れずに済む

(4) 音声案内と公共サイン
・障がい者向けに工夫された音声案内や公共サインが設置され、視覚や聴覚に障がいがある方々の移動支援

(5) 広い歩道
・駅前広場の歩道が広く確保され、混雑を避け、歩行者が快適に通行できる

大府市への反映・所感

 沼津駅北口広場の取組は、大府市の公共交通や駅前整備において非常に参考になる事例だと感じた。歩道と車道の段差をなくした乗降エリアや、低床バスに対応した歩道の整備、さらに、天候に左右されない屋根の設置などは、全ての人々が利用しやすいユニバーサルデザインを提供していた。これにより、視覚障がい者や高齢者、子育て中の主婦など、様々な市民が安心して利用できる公共空間が整備されている。
 また、音声案内や公共サインの工夫、広い歩道の確保など、街全体で誰もが快適に移動できる環境づくりが進められている点も非常に重要である。これらの取組は、大府市においても駅前や公共交通の利用者にとっての利便性を大きく向上させるものと考える。  
 今後、大府市でも公共交通の利用促進や駅周辺のバリアフリー化を進める際には、沼津市の事例を参考にしていく必要があると考える。

このページに関するお問い合わせ

議会事務局 議事課
電話:0562-45-6251
ファクス:0562-47-5030
議会事務局 議事課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。