市民クラブ会派行政調査報告 2025(令和7)年1月20日から22日まで

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ページ番号1034253  更新日 2025年2月25日

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2025(令和7)年1月20日から22日にかけて、沖縄県宜野湾市、国頭村、読谷村を視察しました。

ぎのわん健康プロジェクトについて【沖縄県宜野湾市】

取り組んだ経緯(背景・目的)

視察の様子

 平成27年に返還された米軍基地跡地利用の先行モデル地区となる西普天間住宅地区に、琉球大学医学部・大学病院の移転(令和7年1月開院予定)を契機に健康医療拠点の整備を進めていた。
 宜野湾市の健康課題としては、「65歳未満の死亡率が高く、肥満率も高い。平均寿命と健康寿命の乖離も大きく、健康への関心度が低い」といった課題があった。そうした課題解決に向け、令和3年度に「健康まちづくり基本方針」を策定するとともに全市民の健康増進及び健康づくりを通した地域活力の創出を目指し、琉球大学と連携して令和4年度から沖縄振興特定事業推進費市町村補助金事業「ぎのわん健康プロジェクト」(健康行動プログラム構築実証事業)を実施した。

【健康まちづくり基本方針について】

 (基本理念)

  • 西普天間住宅地区(健康医療拠点)を核とした全市民参加型の健康まちづくり
  • 「ぎのわん健康モデル」の展開

 (基本方針)

  • 「自然に健康になれる」まちづくり

取組の内容と現在の状況

1.ぎのわん健康プロジェクト2022~2023

【目的】

  • 健康教育、健康づくりの推進によるヘルスリテラシーの向上
  • 自治会を核とした健康づくりシステムの構築

(1)小学校での研究・健康づくり支援
 小学校で食育動画の視聴、地域での健康教育・健康づくり支援や健康情報の発信等を実施。
 小学生に支給されているタブレットを利用してプログラム前、6カ月後、1年後にアンケートを実施してヘルスリテラシーの変化を調査した。
 「健康」が親子共通の話題になり、お互いが健康を支える応援者となることで、健康づくりを実践する子どもと保護者が増えることをねらいとしている。

(2)地域での研究、健康づくり支援
 沖縄県が作成した健康アプリ「Aurora」を活用し、健康教育や健康づくり支援を対面型支援と動画配信にて実施し、健康づくり実践状況の把握などを行った。

(3)人材育成・健康づくり支援
 健康づくりサポーターの認定、研修やセミナーを通じて、市民主体の健康づくり活動のノウハウを学ぶ機会の支援を全市民、市職員や自治会、小中学校などに実施してきた。
 

2.ぎのわんスマート健康増進プロジェクト2024~

【目的】

  • 市民の健康行動の段階に合わせた支援をするための仕組みづくり
  • 産学官が連携して役割を担い、(健康アプリの開発、健康拠点の環境整備等)を進める。

産:沖縄セルラー電話株式会社

  • 利用者満足度の向上のために、健康アプリ及びコンテンツの提供と市が保有(情報通信)するデータの管理・保存

学:琉球大学

  • 行政データを活用した調査と健康増進に係る情報の作成

官:宜野湾市

  • 健康診断の実施と市民の健康増に係る事業の企画・実施

【取組】
(1)スマート健診フォロー

  • スマホから健診予約、結果確認、受信者の状況に応じた健康アドバイス、要指導者への指導の効率化

(2)健康習慣構築支援

  • スマホ等を用いアプリに設定された健康行動の実践や健康講座の受講、達成したらポイント付与などでイベント参加の動機付けを行う

(3)健康づくり環境整備

  • 健康づくり拠点施設に必要な設備等を整備

【成果】

  • 産学官連携により、子どもから保護者、行政・学校・大学・地域・企業が一体となって取り組んでおり、ヘルスリテラシーを向上させ、健康を目指す活動が推進されている。

  • 地域全体で取り組む仕組みがあるため、一人では継続が難しいことも、近隣住民同士の顔が見える活動によって継続性が高まっている。

所感・大府市への反映

  • 本市には、国立長寿医療研究センター、あいち小児保健医療総合センター、至学館大学、人間環境大学があり、健康経営に取り組んでいる企業もある。産学官連携により、子どもから高齢者までが健康づくりに取り組めるようなプロジェクトの検討を進めてはどうかと考える。
  • 学校で貸与されているタブレットを活用し、食育啓発の動画配信やアンケートの実施などが行われており、活用できるものをフルに活用していくことは大変良い。
  • スマートフォンのアプリを活用した取組が多くあるが、アプリを導入するだけでなく活動の継続につなげるためには、参加者がより興味を持っていただけるような機能を追加・更新していくことが必要である。
     

やんばる森のおもちゃ美術館について【沖縄県国頭村】

取り組んだ経緯(背景・目的)

視察の様子

 国頭村は、村土の84%を山林が占め、古くから林業が盛んであった。県内有数の木材拠点産地として木材供給を行う中で、多くの人に村産木材を周知し、木育等を推進するため、木材拠点施設として整備を行った。 ウッドスタート宣言に基づき、木を生活の中に取り戻し、子育てや暮らしを豊かにしていく木育を広めるために設立された施設である。

取組の内容と現在の状況

 平成24年度に交流促進センターを改修し、木育拠点施設として「やんばる森の美術館」を整備した。平成25年度の完成と同時に、東京おもちゃ美術館と姉妹館連携し、ウッドスタート協定を締結した。この美術館は、全国にある東京おもちゃ美術館の姉妹館第1号として開設された。 令和4年度からは、東京おもちゃ美術館を運営するNPO法人芸術と遊び創造協会が、指定管理制度により運営している。

【施設概要】

名称:やんばる森のおもちゃ美術館 
事業費:1,895万3千円(補助率80%)※沖縄振興特別推進交付金を活用
入館者数:12,812人(令和5年度)
開館時間:10時00分~16時00分(最終入館15時30分)
休館日:毎週木曜日、年末年始ほか
入館料:一般の方
     ・大人(中学生以上)800円、
     ・こども(小学生・1歳~未就学児)600円、1歳未満無料
    国頭村民の方
     ・大人(中学生以上)200円、
     ・こども(小学生)100円、1歳~未就学児無料

【成果】

  • おもちゃ美術館の整備前と比較して、森林公園全体の利用者が増加しており、国内のみならず海外からの来訪者も増えている。
  • 来場者の増加に伴い、宿泊施設の利用者や収益も増加している。

【課題】

  • 既存施設を改修して整備した経緯から、現在の施設規模では収容人数や提供できる体験プログラムが制限されるなど、キャパシティ不足が課題となっている。

【課題への取組】

  • 県内外からの更なる誘客促進と林業の活性化を図るため、既存施設の拡張を決定した。

    事業名:木育推進による林業・観光活性化事業
    事業年度:令和5年度から6年度
    施設完成予定:令和7年度中
    施設面積:既存227平方メートル、増築後822平方メートル(約4倍)
    事業費:46,100万円(補助率80%)村費用は9,300万円

    ※拡張エリアには、遊びを通して「やんばるの食文化や暮らし」を知ることができる様々なエリアを配置し、遊びと学習を両立させた空間を目指している。

 

所感・大府市への反映

  • 大府市も令和9年度におもちゃ美術館が開館予定であり、整備されている規模も本市と同程度であり、イメージすることができた。
  • 各地のおもちゃ美術館では、地域特性を生かした展示(特産品等)が行われており、地域との友好な関係ができている。本市も地域に馴染めるような特性を生かした遊具を「おもちゃ美術館」と一緒に考えていただきたい。
  • 保育園や小学校での木育や体験学習の受入に力を入れている点は非常に興味深く、保育士などがおもちゃの遊び方を学べるようなことにも考慮すると良い。
おもちゃ
やんばる森のおもちゃ美術館内の遊具
椅子
リュウキュウマツのトンネル

平和行政について【沖縄県読谷村】

取り組んだ経緯(背景・目的)

武雄市民球場

 戦後80年が経過し、沖縄県は1972年に米国の占領下から本土復帰を果たしたものの、今なお戦争の傷は癒えていない。読谷村内には米軍基地(弾薬庫)が残り、現在も村民に負担を強いている。戦時中、読谷村は昭和20年4月に米軍の上陸拠点となり、全域が占領地となった。終戦後、土地の95%が米軍に接収され、その後、段階的に返還が進められたが、現在も約36%の土地が米軍の弾薬庫などで使用され、返還されていない土地が残っている。

取組の内容と現在の状況

(1)地権者への土地の返還
 土地の返還の問題は現在も続いているが、返還された土地は全て国有地となり、元の所有者には返還されていない。平成18年に約230ヘクタールの土地が返還された後、平成18年と19年に村有地との等価交換によって国有地が村有地に変換され、村はその土地を農地として整備した。
 現在、村有地である土地を過去の個人地権者に返還するため、将来的に取得(買取)していただけるよう取り組んでいる。まずは旧地権者に農業生産法人を立ち上げていただく、農地を安価な利用料で貸し出すことで農業収益を上げ、その収益によって生産法人として土地を取得していただく仕組みを構築している。

(2)読谷村平和行政の基本に関する条例の制定
第2条  (基本原則)
 読谷村は、世界平和を求める村民の意思を表明した「非核宣言」と憲法擁護の精神に基づき、日本国憲法の基本理念である恒久平和の実現に努めるとともに、村民が平和で安全な環境のもとに、人間としての基本的な権利と豊かな生活が築ける社会の実現をめざして平和行政を推進するものとする。

第3条 (平和事業の推進)
 読谷村は、平和行政を推進するため次の事業を実施するものとする。
 (1)日本国憲法に規定する平和の意義の普及
 (2)平和に関する情報・資料の収集及び提供
 (3)国内及び国外の諸都市との平和に関する交流
 (4)平和想像展、講演会等、平和に関する事業の推進
 (5)その他、村長が必要と認める事業


(3)「ノーベル平和賞を夢見る村民基金」を創設

  • 平成元年にふるさと創生金を利用して基金を設立し、基金を財源に村史だけでなく細かく地域ごとの史誌の作成を主に行っている。
  • 役場に村史編さん室があり、戦争体験者が減っていく中で、戦争の記録を残していくことに力を入れている。

【成果】

  • 土地返還は、約20年かかった一部の農業生産法人の収益によって、土地を購入できる資金が確保され、買取の見通しが出始めた。

【課題】

  • 行政として戦争の記録・記憶の継承  
  • 子どもや若い世代が、戦争の記録を目にする機会

所感・大府市への反映

  • 戦争の悲惨さを次世代につないでいくためには、現地での見学や体験を通して実感することが重要である。
  • 中学生平和大使の対象を中学2年生全員とし、例えば野外学習を沖縄で実施するといった東海市で実施しているような取組を進めていただきたい。また、子どもが体験することで、保護者にも平和について考える機会につなげてほしい。
  • 戦時中の傷跡として現地で大切に残されている自然壕(ガマ)も、経年劣化が進んでいるようであり、早く行くべきと考える。
     

チビチリガマの見学

庁舎での座学研修の後、チビチリガマを見学させていただいた。

※チビチリガマ
昭和20年4月の米軍上陸時に、村民139名が自然壕(ガマ)に避難し、82名が集団自決した場所
 

がま2
チビチリガマ
がま
チビチリガマ世代を結ぶ平和の像

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ファクス:0562-47-5030
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