市民クラブ会派行政調査報告 令和6年7月16日から18日まで

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ページ番号1031973  更新日 2024年8月16日

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令和6年7月16日から18日にかけて、北海道苫小牧市、北海道函館市及び青森県弘前市を視察しました。

苫小牧市スポーツのまちづくりについて【北海道苫小牧市】

取り組んだ経緯(背景・目的)

視察の様子

 苫小牧市は、昭和41年に全国初の「スポーツ都市宣言」を行い、スポーツを通じて健康でたくましい心と身体を育み、豊かで明るい都市を築くことを目指してきた。苫小牧は積雪が少なく「氷都」と呼ばれるほど、アイスホッケーやスピードスケートが盛んな地域である。そのため、多様なスポーツ活動に対応するための施設整備に力を入れてきた。
 東京オリンピックやラグビーワールドカップなどの大規模なスポーツイベントを契機に、スポーツツーリズムの取組が各地で活性化した。これにより、スポーツを始めるきっかけづくりやスポーツを通じたまちづくり、大規模なスポーツ大会の開催による地域経済の活性化に注目が集まった。平成30年度には、スポーツ推進室からまちづくり推進室スポーツ都市推進課に改組し、スポーツを通じたまちづくりに重点を置く体制に変更した。

【目的】
 各種スポーツ活動を通じて、市民の健康寿命を延伸し、スポーツ実施率を向上させるために、活動拠点となる施設環境を整備する。
 全国や北海道大会の積極的な開催や各種スポーツ合宿を誘致することで、スポーツを通じた地域経済の活性化に寄与する。

「スポーツ都市宣言」
 わたくしたち苫小牧市民はスポーツを愛し、スポーツを通じて健康でたくましい心と体をつくり、豊かで明るい都市を築くために次の目標をかかげて、ここに「スポーツ都市」を宣言します。

  1. 市民すべてがスポーツを楽しみましょう。
  2. 力をあわせてスポーツのできる場をつくりましょう。
  3. 次代をになう青少年のため、地域にも職場にもスポーツの機会をつくりましょう。
  4. 世界に活躍できる市民を育てて広く世界の人と手をつなぎましょう。

取組の内容と現在の状況

  1. スポーツ施設の環境整備(17施設)
    ・体育館(3施設)※その他コミュニティーセンターなど6カ所
    ・スケートリンク(5施設)屋内:4、屋外:1
    ・温水プール(1施設)
    ・温水プールと体育館を併設(1施設)
    ・屋外施設(6施設) テニスコート:20面、サッカー場:3面、野球場:2面
    ・少年野球場:1面、陸上競技場:3種
    ・屋内人工芝施設(1施設)テニスコート:1面(人工芝化)
    ・年間利用者数
     →スケート競技施設 約30万人
     →屋内競技施設   約63万人
     →屋外競技施設   約19万人
  2. 全国・北海道スポーツ大会誘致
    ・北海道最大15万円、全国最大200万円まで開催補助金を支給
    ・毎年全国高校選抜アイスホッケー大会を8月に実施
    ・北海道内主要都市から等距離にある点を生かし、北海道大会を毎年8~10大会開催
  3. スポーツ合宿誘致
    ・スポーツ合宿補助金→苫小牧市内に宿泊及び施設利用、1泊1人1,000円補助 (中央競技団体は最大20万円)
  4. 誘致セールス活動
    ・苫小牧MICE誘致推進協議会との連携(事務局は観光協会)
    ・特に関東・関西方面への誘致セールスを実施 
    ・令和5年度実績:2,222泊 約559万円

成果・課題・課題への取組

【成果】

  • 施設の充実により、サッカー場の利用者は年間2~3万人から8~9万人へと大幅に増加した。屋内テニスコートの利用者も年間7,000人から14,000人へと倍増した。
  • スポーツ合宿もコロナ禍を経て令和5年以降増加傾向にあり、令和5年には95件に達した。

【課題】

  • スポーツ施設の老朽化対策
  • 築50年以上の施設が2つ、築40年以上の施設が1つ、築30年以上の施設が8つある。
  • 中学校の部活動の地域移行(指導者不足など)

【課題への取組】

  • 今後の人口減少を踏まえた整備計画と施設配置及び施設複合化の検討
  • 各中学校での地域移行説明会の開催、移行後の支援対策と指導者の確保と育成
  • 個人スポーツは令和6年度以降に移行完了。団体スポーツは令和10年までに移行予定

【その他の取組】

  • スポーツ施設の個人利用無償化(中学生以下および70歳以上)
  • 遠征費補助(小中学生の交通費の7割、高校・大学生は一律1万円)
  • スポーツマスターの任命(スケートなど、現在6名のマスターが指導教室を開催)
  • 氷上スポーツ育成事業の開催(アイスホッケー・スピードスケート教室)
  • パラスポーツの推進(パラスポーツ体験会などを実施)
  • 青少年スポーツ振興事業(スポーツ少年団の紹介動画の作成やYouTube配信など)

所感・大府市への反映

  • 健康都市おおぶとして、健康づくりのために「1人ひとつ、スポーツをしよう」の施策に取り組むことを提案する。
  • 苫小牧市内の中学校部活動の地域移行では、スポーツクラブで多世代クラブとして大人を巻き込んで一緒に活動する、あるいは部ごとに指定校を決めて取り組むなど、具体的な計画まで考慮されている。
  • スポーツマスターの任命による各種教室の開催は、現役や引退後の一流スポーツ選手によるスポーツ指導を通じて、スポーツに対する興味を引き出す活動に結び付けることが期待でき、著名人などにスポットを当てた取組を検討すべきである。
  • 課題に上げられていたスポーツ施設の老朽化は、本市も同様に抱える問題であり、今後の人口動向を見据えた整備計画、配置検討、施設の複合化などを考えていく必要がある。

はこだてキッズプラザ・はこだてみらい館運営について【北海道函館市】

取り組んだ経緯(背景・目的)

視察の様子

 前市長の政策の一つである「駅前市有地での民間商業施設と子どもおもしろ館、キッズセンターなど公共施設合築による集客施設の建設」に基づき、平成23年から施設整備の検討を開始した。その後、「函館市中心市街地活性化基本計画(平成25~29年)」において、駅前の低利用化・老朽化が著しいビルを含む街区を一体的に整備することで、駅前を含む中心市街地全体への波及効果を生み出すことを考えた。「函館駅前若松地区第一種市街地再開発事業」において、再開発ビル内に公共施設を併設し、平成28年10月に「はこだてキッズプラザ」と「はこだてみらい館」を開設した。

取組の内容と現在の状況

 整備費として、用地取得費用が約16億円、公共施設整備事業費として約3億円、全体で約20億円の整備事業であり、市は市債11億円を投入した。(国の補助金約8億円、その他補助金)

キラリス函館 

  • 地下1階、地上16階建(5階以上は居住マンション)
  • 3階:はこだてみらい館
  • 4階:はこだてキッズプラザ
  • 指定管理者:はこだてみらいプロジェクト運営グループ
  • 代表者:株式会社こどもクラブ
  • 構成員:株式会社NAアーバンデベロップメント、ソニーピーシーエル株式会社
  • 開館時間:はこだてみらい館 10時00分~20時00分
         はこだてキッズプラザ 10時00分~18時00分
  1. 使用料金
    はこだてみらい館
    ・一般生徒児童(小学生以上)個人300円、20人以上の団体240円

    はこだてキッズプラザ(大人だけの入館不可)
    ・子ども(6カ月未満無料)、個人300円、3カ月券900円、6カ月券1,500円

    保護者付添人
    ・個人100円、3カ月券300円、6カ月券500円
    ※託児施設は、子ども1人につき1時間までごとに600円(超過時間30分ごとに600円)
    ※両館使用共通券も設定されている。
  2. 主な施設内容
    はこだてみらい館
    ・多目的ホール、シアター、VR360°スタジオなど先端技術を導入、映像やソフトウェアは、ソニーグループが要望を受け提案更新

    はこだてキッズプラザ
    ・プレイグラウンド、乳幼児コーナー、授乳おむつ替え室、こどものプレイエリア以外に託児室、子育て相談室など
    ※こども施設のため大人だけでの入館はできない。
  3. 管理運営経費(令和5年度)
    歳入:約3,088万円(主に施設利用料、自販機等の付帯収入)
    歳出:約2億1,366万円(管理委託料約1億4,000万円、コンテンツ関係約5,200万円など)
    収支差額:約1億8,000万円は市の負担となる。
  4. 施設利用者数
    はこだてみらい館
    ・令和5年度 58,900人
    ・使用料収入1,174万2,540円

    はこだてキッズプラザ
    ・令和5年度 108,608人
    ・使用料収入1,819万9,800円
    ※特に夏休み期間(7~8月)は両館とも利用者が多く、キッズプラザは夏休み以外にも天候に左右されず遊べる屋内施設として冬期の利用も多い。
    ※利用者の比率は、市内在住者3割、周辺市町在住者3割、道外から3割程度であり、市外の利用者(家族連れ観光客等)の利用比率もかなり高い。

成果・課題・課題への取組

【成果】

  • 既存のビルの老朽化などにより歩行者通行量は減少したが、駅前にキラリスを整備したことや新幹線の開通により観光客が増加し、駅前の賑わいが戻ってきている。
  • 入館者数はコロナ禍の影響で減少したが、回復の兆しが見えている。特にキッズプラザはリピーターが多く、年間を通してコンスタントに利用されている。
  • キッズプラザには託児施設もあり、急な用事にも対応できるようになっている。また、観光客の待ち時間にも多く利用され、立地条件の良さも幸いしている。

【課題】

  • はこだてみらい館は経費が掛かり、入館者数と見合っていない。最先端技術の導入によるコンテンツ等の設備更新に毎年約5,000万円の経費が掛かる。
  • オープンから約8年が経過し、コンテンツ以外にも施設の劣化が目立ち始めている。
  • 駅前にありながら、市民や観光客に利用を促すPRが不足している。

【課題への取組】

  • 他の施設を参考にし、見せ方や駅前の立地をPRしていく。
  • 市内の子どもたちにも利用してもらえるよう、学校に案内を行っていく。
  • プログラミングによるワークショップ等で機材を利用し、校外学習として進めていく。

所感・大府市への反映

  • はこだてみらい館は常に先進的な設備が導入されており、大人にも魅力的な施設だと感じた。
  • 大府市の公共施設についても、利用者数を確保するために、できるだけ駅に近い魅力的な場所に設置する工夫が必要だと感じた。
  • 駅前の歩行者通行量が増加した点においては、施設設置による一定の効果があったと考えられる。
  • はこだてキッズプラザは、保護者としても天候に左右されずに子どもと一緒に遊べる場所であり、託児施設や子育て相談室があることでリフレッシュにもつながると感じた。
  • 大府市でも、こども屋内遊戯施設「おもちゃ美術館」が整備される予定だが、リピーターを増やすためには定期的な施設の更新が重要だと感じた。
  • また、使用料金について、はこだてみらい館、はこだてキッズプラザでは市内外を問わず一律に設定されているが、大府市ではターゲットを明確にし、何度も訪れたくなるような使用料金の設定を慎重に検討する必要があると感じた。

市民参加型まちづくり1%システムについて【青森県弘前市】

取り組んだ経緯(背景・目的)

武雄市民球場

 

 平成22年4月に就任した前市長の選挙マニフェストにより、「市民参加型1%システム」が導入された。同年10月には弘前市アクションプラン2010の一部として計画が導入され、平成23年6月に制度が創設された。
 市民ニーズの多様化・高度化が進む中、行政主導のまちづくりには限界を感じ、地域住民の連帯感の希薄化が地域活動やコミュニティ活動の停滞を招いていた。このため、「市民」が主体となるまちづくり活動を行政が応援する形が最適であると考えた。
 平成27年4月には「協働によるまちづくり基本条例」を施行し、この条例に定められたまちづくりの基本的なルールに基づき、市民、議会、執行機関の3者が協働して「市民の幸せな暮らし」を実現するための取組を進めている。

取組の内容と現在の状況

 「弘前市市民参加型まちづくり1%システム」は、市民自らが実践するまちづくり・地域づくり活動に対して支援する公募型の補助金制度である。この制度は、個人市民税の1%相当額を財源とし、市民が自分たちで考え、行動する地域づくり活動をサポートする。

  1. 予算と補助金額
    ・令和6年度予算: 2,800万円(市の「まちづくり振興基金」から充当)
    ・市民税予算: 68億円(6,800万円が財源となるが、過去の実績に基づき2,800万円を計上)
    ・補助金額: 上限50万円(スタート部門は上限5万円)
     補助対象経費の90%以内、事業の支出総額から収入を除いた額の少ない方の金額、団体の維持・運営にかかる経費、人件費、謝礼、参加者への記念品等は補助対象外
  2. 応募要件
    ・一般部門
     構成員が5人以上、主に市内が活動拠点、組織の運営に関する規則(規約・会則等)がある、継続的かつ計画的に事業を行うことができる、市内に事務所または事務局がある。
    ・スタート部門
     構成員が3人以上、主に市内が活動拠点、計画的に事業を行うことができる、過去に1%システムの交付決定を受けたことがない。
  3. 事業要件
    ・原則として市内で行う事業(地域の課題解決や活性化が目的)
    ・公益性があり、事業実施後も地域においてその効果が持続される事業
    ・住民または構成員の労力提供等がある事業
    ・補助金の交付決定があった年度内に完了する事業
  4. 事業募集
    ・年に3回
  5. 審査方法
    ・一般部門は、書類審査+プレゼンテーション
    ・スタート部門は、書類審査のみ(参加制限を緩和して申請しやすくしている。)
    ※まちづくり1%システム審査委員会が総合的に審査(学識経験者、団体推進者、公募市民(大学生含む))など15名で構成)

成果・課題・課題への取組

【成果】
 市民と協働によるまちづくりに対する意識が高まり、市の取組が「協働によるまちづくり基本条例」に則して実施されている。地域課題の解決や地域の活性化を目指す市民活動が活発になり、市民主体の魅力あるまちづくりが進んでいる。

【補助金実績】

  • 平成29年度:交付確定額 2,275万1千円(最高額)
  • 平成31年度:採択件数 71件(最多件数)
  • 令和4年度:採択件数 49件、交付確定額 1,310万8千円
  • 令和5年度:採択件数 52件、交付確定額 1,348万8千円

【課題】

  • 資金調達の課題:収入がなく、補助金に頼る状況が続いており、自走化が進んでいない。
  • 周知の問題:参加者の集まりが悪い。
  • 仲間づくりの問題:人材不足が顕著である。

【課題への取組】

  • 団体への資金調達や発信方法に関する研修会や交流会を実施し、知識とネットワークを提供する。
  • 研修会や講演会終了後に、講師や他の団体との意見交換を行い、問題解決につなげる。

所感・大府市への反映

  • 地域活動の課題として、担い手不足や人材の高齢化、自主財源の不足などが共通していることがわかった。この支援補助金は総合計画の重点施策に位置付けられており、市の協働に対する強い思いが感じられる。
  • 若者が地元のことを考え、アイデアを出し実現する経験を積むことができる環境を提供する取組は非常に良いと感じた。
  • 弘前市においては、様々な課題に対して、行政だけでは行き届かない部分や思いつかないアイデアと労力に対し、広報サポートや補助金で支援することにより、「あずましいまち弘前」(気持ちの良い、心地よい、安心できる)を実現している。
  • 本市でも、行政として団体等に任せられることがあれば、始めはハードルを下げて補助金等で支援し、活動を任せることも協働のまちづくりの一つとなると考える。また、支援だけでなく、年度ごとに反省を行い、市民活動から市の事業として展開される事業もあることから、市民の柔軟なアイデアとそれぞれの強みを生かしていくことが必要である。

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